アパート建築営業マンが不動産投資してみた

不動産王になる(はずの)ストーリー✨

✎あなたの知らない世界③✎

皆さん落語は好きですか?私は上方落語が好きで、特に米朝が大好き。全集を今でもよく聞いています。

 

落語の世界には長屋でのドタバタ騒動がよく登場します。その騒動の仲裁をするのが大家で、店子にとって大家は親も同然でした。江戸時代は大家さんの力が圧倒的に強かったわけです。爆発的に人口が増えて住宅不足の江戸では売り手市場だったことも影響しているでしょう。大家に歯向かえば長屋を追い出されてしまいます。

 

そんな力関係から店子を守るために大正時代に借地法と借家法が制定されて、現在の借地借家法にいたります。

 

時代が進むにつれ、部屋が余ってくると大家の力は弱まっていきます。売り手と買い手の力が逆転し始めたのです。しかし、この借地借家法は生きていますから、現在では店子のほうが強くなってしまったのです。

 

 

 

 

さて、今回はそんな法律を盾に大家から金をふんだくる入居者のお話です。

 

これは割と最近、3年くらい前のこと。都内で築50年くらいのアパートの建替えの相談を受けました。この大家さんは女系の家族で大家さんは高齢の女性で娘さんが窓口になっていました。

 

女性ばかりの家族ですから、借金をしてまで建替えることにはあまり積極的ではありませんでしたが、建替えをせざるを得ない理由がありました。その理由がモンスター入居者です。

 

この入居者は60代で無職。若いころ弁護士を目指していたけど挫折して現在は生活保護受給者です。弁護士を目指していただけあって、弁が立つ。その上イカれてる。

 

まず、音に対して以上に神経質。このアパートは2階だけが居室で、1階は駐車場になっていました。駐車場は入居者じゃなくて外部の人が借りていたのですが、夜車のエンジンをかけると、このイカレ弁護士クズレがすっ飛んできてどなり散らす。終いには駐車場の利用者を全員追い出してしまいました。

 

駐車場でこの調子ですから、他の部屋の入居者はとっくに追い出されています。つまり、我々が対応し始めたときにはこのおっさんしか入居者はいませんでした。

 

もちろん大家さんもこのおっさんを追い出すための交渉をしてきましたが、そこは弁護士クズレ、大家さんが困れば困るほど居座って動かなくなります。前の道路に車が停まっている、近所の主婦がアパートの前で立ち話しているとなんでもかんでも大家さんに電話してきてクレーム(いいがかり)を言う。真夜中でも電話してくる。

 

大家さんとしてはもう不動産投資とか家賃収入とか考えられる状況ではありません。もうこいつを追い出すことが頭のなかの90%ぐらいを占めています。そこでどうしたら追い出せるのかと我々に相談が来たのです。

 

つづく